グランデス冒険録

十章・鏡に映る理想郷(前編)
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巨蟹の月二十一日

シェルデナ城

玉座の間

復興が開始して間もなく、新たな八王にリリウムが据えられた事は、八区全土に広まった
戴冠の儀も終わり、リンクスワーカーは賓客としてもてなされた上で暫く宴に参加する事になった
それから暫くして、リリウムにリンクスワーカーは呼び出された

リリウム『リンクスワーカー
貴方達にはお礼がまだでしたね』

程鉄『その事ですが
感謝の言葉さえ頂ければ、後は何もいりません』

リリウム『いいのですか?』

程鉄『ええ
シェルデナは復興でこれからもっと金銭を使う筈です
他区に報酬を出す余裕も無いでしょう
私達は、受け取れません』

リリウム『貴方達には本当に助けられました
玄都は、貴方達を歓迎します、機会があったら、また来てくださいね』

程鉄『ええ、必ず』

ゼシス『驚異の存在は私達も看過出来ないからね
また何れ、共に戦うかも知れないね』

程鉄『貴方達との再度の共闘
心待にしています』

リンクスワーカーは拝礼し、シェルデナを去った
その後、玄都は一ヶ月で復興し、元の美しい国に戻ったとされる

同日

鏡の幻想郷

首都『カーディナル』

リンクスワーカーは異界渡りを行い
新たな異界『鏡の幻想郷』に転移された
この地は古くからグランデスと結び付きがある場所で、交易が盛んであった
王都に近い町並みであり、冒険者も多く、住民も多かった

程鉄『名前は聞いた事はあったけど
初めて来た気がしないな』

程徳『王都に似てるからとか?』

程鉄『それもあるが
もっと、こう』

程鉄が言い切る前に誰かがぶつかった
護衛と思わしき黒服も慌てて此方に向かってきたが、その人物が制止した

??『私の不注意ですから
大丈夫です』

黒服『そ、そうですか
運がよかったな、お前達』

程鉄『ああ
ぼうっとしてた私にも問題がーーーっ!』

少しした後、程鉄は頭を抱えた
既視感の正体に程鉄が気がついたのはこの時であった
そう、程鉄は『ここに来た事がある』のだ
そして、さっきぶつかった人の正体がカーディナルの市長である『稗田真求』である事に

程鉄『あ、貴方は真求様!?』

真求『貴方は程鉄さんでしたか
そんなに改まらなくてもいいんですよ?』

程鉄『で、ですが』

黒服『市長、知り合いですか?』

真求『ええ、学生時代の友達です
あまり彼らに粗相はしないように』

黒服『は、はい』

程徳『え、知り合い?』

真求『はい
程鉄さんはかつて、この地にて学業をしていた時期があります
その時の友達です
ですから、様ではなく、さんと呼んで欲しいです』

程鉄の慌てようから、他のメンバーも相手の立場は気付いたのか、ざわついていた

真求『旧友と話をしたい所ですが
現在は多忙ですので』

程鉄『真求さん
その件を詳しく聞いても良いでしょうか?
私達は、異変を解決する為に来ましたので』

真求『解りました
鹿目、彼らも紅桜館に随伴させます
私は大丈夫ですから、彼らの護衛をお願いします』

そう言われた黒服のリーダーである『鹿目深雪』は少し不安そうにしていた

深雪『ですが
万一お嬢に何かあった場合は』

程鉄『私達は冒険者、自身の身は自分で守れます
真求さんの方が大事ですから』

深雪『それはそれ、これはこれよ
貴方がお嬢の知り合いでも聞けないわ
私達はお嬢に忠誠を誓った身
あの人の命は死しても守るわ』

真求『鹿目、貴方は生きなさい
私は大丈夫だから』

程鉄『でしたら
依頼としてこの護衛を受けましょう
真求さん達の護衛、それでいいですか?』

真求『成る程
依頼なら断れませんね』

深雪『冒険者らしい、か
私は鹿目深雪、ドラグーンよ』

陸斗『ドラグーンにしては、甲冑が無いようだが』

深雪『それは戦いになってから解るわ』

リンクスワーカーは真求護衛を依頼として受注し、一行は濃霧の湖に向かった

濃霧の湖

妖精の里

紅桜館に向かう中間拠点である妖精の里は冒険者を夢見る妖精が多く住み着き、カーディナル程ではないが賑わっていた
リンクスワーカーが来た事でその注目が集まった状態である

妖精A『あれが異界の冒険者だって』

妖精B『ルチルも凄腕だし、戦ったらどうなるんだろうね』

妖精A『あー
それやらせたらティタニアが怒ると思うよ』

真求『そのルチルは何処に?』

妖精B『えっと
確か濃霧の湖に魔物が出たとかって話を聞いて
剣を手にして湖の方角に向かいました』

程鉄『変ですね
濃霧の湖は魔物が出ると言う話は聞きませんが』

妖精A『妖精の一人が木の実拾いに行ってその魔物に襲われて怪我をしたんだよ
命に別状は無いけど、濃霧の湖に魔物が出たなんて事滅多に無いからね』

真求『ルチルから通行許可を貰わないと湖の探索は危険ですからね
探した方が良さそうです』

深雪『捜索ですね、解りました』

深雪はそう言うとカフスボタンに触れた
すると、さっきまで無かった鎧と盾を既に身に付けた状態になっていた

程鉄『成る程、憑依装着ですか』

深雪『ええ
装備を素早く展開できるし、悪くないでしょ?』

深雪は銃を抜き、そう言うと、湖の方に向かって行こうとした

程鉄『グランデスではまだ無い技術ですから
学ぶこともありそうですね』

程鉄も出ようとすると、前方から魔物の亡骸を抱えた妖精がやってきた
彼女こそ妖精の里の主である『ルチル』である

ルチル『あ、冒険者と真求の部下ね
紅桜館に向かいたいんだね?』

程鉄『はい
お久し振りです、ルチルさん』

ルチル『お、君が程鉄だったか
あのやんちゃなチビッ子が大きくなったんだね』

程鉄『そ、それは言わないでください』

ルチル『グランデスの土産があるなら今度持ってきてよ
妖精達も興味あるみたいだしさ』

深雪『グランガーチですか
確かあれは魔導の森にのみ居る魔物です
それが何故此処に?』

ルチル『アンデッドの因子が埋め込まれてたのか、暴走してたみたい
最近、鏡の幻想郷の各地で起きた事件でね
グランデスでも最近はアンデッドに関する事件が多発していたんでしょ?』

程鉄『何故それを?』

ルチル『異界の情報は異界の冒険者から聞いてるよ
グランデスから来た冒険者は重要な情報源になるからね』

真求『貴方は忘れてたみたいだけど』

程鉄はそれもそうか、という顔になっていた
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