グランデス冒険録

十五章・アンデット滅亡
1/5ページ目

処女の月二十六日

冥界

グラッドニー砦

リンクスワーカーは強化ポータルを使用し冥界に移動した
グラッドニー砦に居た亡霊達は生きた者達を見て驚いていた

亡霊『うわ、生きてる者が何故此処に!?』

程鉄『ちょっと事情がありまして
すいません、此処に腐王に居ませんか?』

亡霊『腐王だって?
あー、そういやそう名乗ってた奴が
『我らの決戦は近い!
罪人よ、今こそ罪を清算する時!』
って扇動して、罪人の霊を連れていったな
お陰でこっちは静かになったが、生者の世界じゃえらい事になってるんだろ?』

程鉄『話が早くて助かります
その腐王はどっちに行きましたか?』

亡霊は少し考えたようにして指で西側に指した

亡霊『ここから中央に向けて真っ直ぐ進んだ場所だな
かつての天界の一部が落ちてきたって場所だったか
ただ、冥界の魔物はおっかないから、あんまり俺らは行かないんだが』

程鉄『成る程
貴方は何故、腐王に協力しなかったんですか?』

亡霊『ん、ああ
俺な、生きてた時は冒険者だったんだ
他人の為に、自分が得をしない事を承知で、誰かの為に生きて
冥界に来た時は少しビックリしたさ
けどな、この地はグランデスと違ってまた新しいモンもある
助けを求めてる奴も居る
そう考えたら『転生するまで、何かの役に立ちたい』って、そう思ってな』

程鉄『立派な志ですよ
そういう魂だからこそ、縁様は気に入ったんだと思います』

亡霊『あー
たまに顔を出してたあの神様だな、最近は来ないけど
メイヘルと冥界の境界線が消えかかってるのが原因だろうがな』

程鉄『冥界とメイヘルの境界線が、ですか?』

亡霊『そうなんだよ
腐王って奴の仕業だと思うんだが、空にある裂け目が塞がれてる』

程鉄が上空を見ると、メイヘルが見える空間の隙間が見えたが、その隙間に何かが張り付いていた
程鉄は見覚えがある、レギオンやコープスが強引に塞ごうとしているのだ

程鉄『アレも撃ち落とさないといけませんね』

亡霊『撃ち落とす、か
ちょいと待ちな、アイツらなら銃より、コレでやった方が良いだろ』

亡霊がバリスタのある場所に案内した
しかし、ただのバリスタではない、ガストラフェテスと呼ばれる強力なボウガンを連弩に変え、更に巨大化させたような超兵器である

程鉄『こ、これは!』

亡霊『こないだやってきた新入りの『ワーウルフの兄ちゃん』が開発してったんだ
『もし、生きた人が来たら使わせてくれ』
って言ってたな』

程蘭華『親父だな、間違いない』

程鉄『父上
ありがたく使わせて貰います』

亡霊『お前達の親父さんか
よし、派手にやってやりな!』

程鉄が操縦し、狙いを定めて発射すると、レギオンの部位が数ヶ所破壊され、落ちていった
連弩故に十発の矢が一斉に放たれ、ガストラフェテスの威力も相まって破壊するのは容易だった

程鉄『これは凄い
矢の牽引から何まで全部自動でやってくれるのか
これなら的確に打ち落とせますね』

亡霊『兄ちゃんはアンデットに詳しかった
長い事アンデットと戦ってたんだろう』

程鉄『父上、私は』

程鉄は俯いたが亡霊はこう告げた

亡霊『やり残した事があるなら、しっかりやってから逝きな
あの兄ちゃんもそう言ってたぞ
後悔だけは残すなってな』

程鉄『父上らしいですね
私も精進しないと』

程鉄は全てのアンデットを撃ち落とし、バリスタから降りると、西側に向かって進もうとした
そこに、バハムートの声が聞こえた

バハムート『良いか
この地より先は腐王の領地
奴等を倒すまでは引き返す事は出来ん
やり残した事は、無いか?』

程鉄『引き返せない、か
私は覚悟は決めたが、他の皆がそうとは限らないな』

程鉄が振り向くと、他のメンバー達は首を振った

程蘭華『馬鹿だな
兄貴、俺達はもう引き返すつもりは無いぜ』

程徳『それに
引き返したって良い事無いでしょ?』

程鉄『そうか
苦労をかけるな、お前達には』

程蘭華『馬鹿言え
無謀だから逃げたって誰も文句は言われないのに
立ち向かってるだろうが、兄貴は』

程徳『僕は姉さん達と一緒
逃げて後悔する位なら、最後まで戦うよ』

蘭華はクスリと笑う
程徳はニコニコしながらそう応じている

木花『師匠が一緒に逃げるなら、それも悪くないけど
ボクは師匠と運命を共にするよ、後悔はしたくないからね』

リリィ『それに
程鉄の居ない世界は望むところに無いわ』

木花とリリィも頷いた
思えば彼女らとも付き合いは長い方だ

心愛『程鉄さん、負けるつもりはありませんよ
最後まで戦い続けます
世界を平和にするまで、ずっと』

伊織『義兄上
私達も、義兄上と最後まで戦うよ
かつて、忌み嫌われた私達を救ってくれた、義兄上の為にな』

伊織と心愛は刀を掲げる
彼女らも死線を潜り抜けてきた、その実力は本物だろう

フェンリル『玄都の件もある
俺達は今こそお前達の恩義に報いるぜ』

ミョウカ『私達は諦めない、最後まで戦います』

フェンリルとミョウカは誓いを立てた
彼らは強き力を備えた英雄たる器だと言える

程鉄『皆、ありがとう
改めて、君達の命を私に預けてくれ
驚異との戦いもある、最後まで付き合ってくれ』

程鉄は少し仲間達の在り方を心配した
恩義よりもっと大事な事はある筈だからだ
しかし、今はそれが有り難かった
腐王は一人では勝てない相手だと、理解しているが為に

程鉄『君たちの心が伝わってくる
かつてのお爺様もそうして戦ったのだろうか
私は知らない事が多すぎる』

バハムート『そうか、お前達は変わらないな
何百年も前の戦いでも、人類は変わらずにアンデットや驚異に立ち向かった
世界の命運を賭けた戦いだからこそというのはあるが
人類の魂の輝きは昔から変わってない
縁が溺愛して大陸を作ったりしただけはある』

程鉄『魂の輝き、ですか』

バハムート『そうだ
誰しもが勇者という訳ではないが、国を守ろうと考えた英雄も居た
人の魂の輝きは揺らがなかった
世界を正しく導く為にな
俺もそうだったが、人の魂は揺らぎにくい
心はその限りじゃないがな』

程鉄『そうですね
人の心は簡単に変わってしまう
私は、その事象を幾度か見てきたから』

程鉄は遠くを見据え、覚悟を決めたように頷いて進んだ
[指定ページを開く]

次n→ 

<<重要なお知らせ>>

@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
@peps!・Chip!!は、2024年5月末をもってサービスを終了させていただきます。
詳しくは
@peps!サービス終了のお知らせ
Chip!!サービス終了のお知らせ
をご確認ください。




w友達に教えるw
[ホムペ作成][新着記事]
[編集]

無料ホームページ作成は@peps!
無料ホムペ素材も超充実ァ