グランデス冒険録

十八章・グランデス統一
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天蠍の月一日

武都領

スムルフ城

驚異戦役の後、マリオンの事を快く思わない者達が反旗を翻した
武都は実力が全てである、前武王が掟破りの世代交代を用いた事が、一部の諸侯が面白くないのである
それ故に、反旗を翻したのだ
スムルフは堅城だが反乱軍の猛攻で苦戦を余儀なくされていた

反乱軍兵士『マリオンを殺せ!
我らの盟主ディボロ様を武王に据えるのだ!』

マリオン『結局
自分達が利用する為の御輿にならないなら潰す
それが武都に蝕む姦悪の悪い癖だね
驚異が腐ってると言うのも頷ける話だ』

程鉄『感心してる場合?
鹿子とも連絡が取れない状況みたいだし、厳しくないかい?』

マリオン『程鉄、来てたのかい?』

程鉄『今朝しがたね
それにしても、困ったものだね』

程鉄の発言にマリオンが振り向いた
彼女にしては珍しく、焦っている

マリオン『それは、どういう意味だい?』

程鉄『君の事だ
危険な戦いになるからと兵をあまり連れてきてないだろう?』

マリオン『勝てなければ玉砕が確実になる
危険な戦いに巻き込めるかい?』

程鉄『まぁね
だから、内乱の事を私に伝えないつもりだった
鹿子が大怪我して駆け込んだ時、流石に焦ったよ』

マリオン『君の方に行ったのか
普段なら任務を違えない筈の彼女が』

程鉄『言いたい事はあるかもしれないけど
それはこの内乱を鎮圧した後だな』

マリオン『そう、だね
君の力を貸してくれるかい、程鉄』

程鉄『ああ、任せてくれ』

反乱軍兵士『あ、あれは、程鉄殿!?
驚異を降した猛者が居るなど聞いてないぞ!』

程鉄の姿を見た事で、反乱軍の中でも半ば騒がしくなっていた
勝ち目が無いと言う者、勝てると過信した者と様々だ

程鉄『マリオンの命を狙うには役者不足だな
お前達、反乱を起こせばどうなるか、解ってるだろう?』

反乱軍兵士『う、わ、わかってる
だが、我々には我々の理想がある!』

程鉄『なるほど、ならば
敵総大将を出せ、一騎討ちでケリをつけるぞ!』

ロゼッタ『へぇ、あれが驚異を打ち破った猛者か
なら、ディボロじゃまず、勝ち目はないわね
私『ロゼッタ・ディシェル』が相手よ!』

程鉄『何?
ディボロではないのか?』

ロゼッタ『ディボロは正直、覇者の器ではないわ
この戦いでも臆してる時点でね
従来、傭兵としては雇い主が死なない方が利口だけど
ここは武都、力を持たない者が語る事を許さないでしょ
驚異を倒した貴方相手なら、こんな雇い主に言われるがままの私の心も晴れるかしら?』

ロゼッタは斧と槍を合わせたような武具『ハルバード』を手に身構えた

程鉄『その覚悟、しかと見届けました
ならば、私も貴方に死力を尽くして挑みましょう!』

ロゼッタ『そうでなきゃね
いくわよ!』

ロゼッタと程鉄が互いの刃を交えた
数合切り結んだだろうか、ロゼッタは口を開く

ロゼッタ『驚異を倒した英雄との切り結び、か
私が死しても、名前は残るわね』

程鉄『簡単に言うものじゃないさ
死して名を残すだけじゃない
生きて事を為した方が楽しいともさ』

ロゼッタ『貧民から成り上がった傭兵(私達)はそうはいかないのよ
冒険者みたいには、ね
毎日汚れ仕事を押し付けられ、それでも生きる為にやらないといけないのだから』

程鉄『ならば、私が雇いましょうか?
一生食いっぱぐれる事は無い様に、生活の方も保証しますが』

ロゼッタ『驚いた
こんな傭兵(私)を雇うなんて酔狂な英雄ね』

程鉄『酔狂も生き方でしょう
しかし、今は今の貴方の雇い主への義理を果たすべきです』

程鉄はそう言うと、ロゼッタを弾き飛ばした
ロゼッタはハルバードを掲げ、力を溜めた

程鉄『貴方が奥義を以て応えるならば
私も全力で立ち向かうのみです!』

ロゼッタ『この一撃に全てを賭ける!』

ロゼッタと程鉄の放った渾身の一撃がぶつかると
その衝撃で地面が砕け、大きなクレーターが出来た
しばし、互いに動かなかったが、ロゼッタが倒れた事で勝負がついた

程鉄『貴方の強さ、確かにこの身で体感しました
ディボロよ、大人しく投降せよ
さすれば命までは取らないぞ!』

ディボロ『だ、誰が貴様ごときに!
それに、数は我らが有利、お前さえ討てば勝てるのだ!
皆、奴を討つのだ!』

ディボロが号令をしたが、兵士達は動かない
あの一騎討ちで動揺がかなり拡大したのだ

程鉄『今降れば、マリオンの処置は寛大だ
それでも歯向かうのか?
ディボロ、お前もそうだぞ
これ以上戦えば、一族皆殺しになりうるぞ!』

ディボロ『ぐぬぬぬっ!
たかが一人にここまで虚仮にされるなど、我らの恥だ!
こうなれば、せめて貴様達の手では死なぬ!
俺の生は、俺が決めるのだぁ!』

ディボロはそう叫ぶと、持っていた剣で自らの首を切り、自害して果てた
程鉄はその散り際をしかと見届け、埋葬した

グランチェス城

程鉄の部屋

程鉄が戦後処理を済ませ、一休みしていると、マリオンが入ってきた

程鉄『マリオン
今回の件で反乱は収まったとみるべきか?』

マリオン『ああ、君のお陰だね
鹿子も助かったし、何と言うべきかな』

程鉄『困った時はお互い様だろ?
貸し借りは無しだからな』

マリオン『ふふ、君は相変わらずだね
レミリエルが羨ましいよ』

マリオンはそう言うと椅子に座り、程鉄を見ていた

程鉄『羨ましい、か
マリオンはそんなに私がいいのか?』

マリオン『もちろんだとも
君が数少ない背中を預けられる人だからね』

程鉄『私はそこまで言われる人物じゃないさ
マリオンが誉めてくれるのは嬉しいがね』

程鉄は膝を叩き、マリオンを呼ぶと、マリオンがそっちに寄ってきた

マリオン『今のこの世界に英雄が居るとするなら
それは、君だろうね』

程鉄『買い被りすぎだ
私には君に軍略で劣るし、戦闘能力も君たちに劣るからね』

マリオン『それは謙遜だよ
君は十分優秀だ、それは縁様や八王が認めてるからね』

程鉄『そう、なのか?』

マリオン『ああ、そうだとも
君は間違いなく、優秀さ
私も、君が欲しかったからね』

マリオンは程鉄を押し倒しじっと見ていた

程鉄『君は強引だな』

マリオン『君はそんな私も受け入れてくれた
だからこそ、嬉しかったんだ』

程鉄『仕方のない人だね、おいで、マリオン』

程鉄はマリオンを招くと、その日は一度も離す事はしなかった
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