グランデス冒険録

二十二章・東の地・ラクヨウ大陸(前編)
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白羊の月二十日

ラクヨウ大陸

首都・ラクヨウ

市場

程鉄はグランデス大陸の特使として、ラクヨウを訪れていた
しかし、肝心の夏帝たる呂尤は発言力がほぼ皆無、他の臣下は亜人への態度は高慢のそれと、程鉄は役目を果たせない所か処刑されかねないと判断し、隙を見て脱出した

程鉄『困ったな
あれではラクヨウ大陸と争いになりかねない
レミリエルにはどう伝えたものか』

民『た、助けて!』

賊『へへへ、誰も助けには来ねぇよ
腐敗しきったこの国ではなぁ』

悩む程鉄を横目に賊が亜人の女性を襲っていた
衛兵達は知らぬ存ぜぬと見てみぬフリと、流石に程鉄は放置すら出来ないと賊を切り捨てた

程鉄『これでは、腐るだけではないか』

民『あ、貴方は一体』

程鉄『通りすがりの冒険者です
この地は危険です
私が安全な場所まで案内しましょう』

民『あ、ありがとうございます』

???『君たち、待ちなさい』

程鉄『貴方は?』

程鉄は民を庇うようにしながら振り返ると
そこには亜人の若者が一人、そこに居た
程鉄は見覚えがある、龍の翼と尾をを生やした亜人・ドラゴニスである

???『私は劉越、流れの者だ
今は、そう名乗らせてくれ』

程鉄『解りました
彼女の安全を確保したいので、貴殿の力をお借りしたい』

劉越『解った
君の望みは私も望むところにある、協力しよう』

劉越と名乗る若者は、程鉄と共に警備が手薄な場所から民と脱出し、ポータルのある場所まで案内した

程鉄『ここまで来れば
とりあえずは大丈夫でしょう』

民『ありがとうございました、この恩は忘れません!』

劉越『さて
君はグランデス大陸から来たみたいだね
グランデス大陸は亜人と人族、そして魔族が共存する地と聞く
ラクヨウ大陸、いや、夏王朝では考えられない話だ
彼らは人族至上主義だ、君達とは相容れないだろう』

程鉄『劉越殿
そうだとしたら、貴方は』

劉越『ああ、解っている
私は夏王朝では不倶戴天の存在だろう
だが、私には夢がある
グランデス大陸の在り方を見て私は思ったんだ
ラクヨウ大陸でも、同じことが出来るのではないか、とね』

程鉄『貴方の望みは厳しい道のりになりますが
それでも、挑みますか?』

劉越『愚問だ
だから、君のその実力を借りたい
君の力、そしてその人となりを私の夢の為に貸してくれ』

劉越はそう言うと臣下の礼を取った
程鉄はそれを無下には出来ないと考え、一つ提案をした

程鉄『ならば
劉越殿は臣下ではなく王になられるべきです
貴方の夢を為すならば、それが一番でしょうから』

劉越『君は悪い人だな
夏王朝の法だったら処刑されてたぞ』

程鉄『ははは、違いないでしょうね
まぁ、不敬なのは昔からです、それはご了承を』

劉越『それもそうか
改めて、君の力を貸してくれるかい?』

程鉄『勿論です
貴方の大望を為すべく、私は貴方の力となりましょう』

程鉄は劉越を起こし、一礼した
すると、二人の傑物が走ってくるのが見えた

劉越『おや、関覇、張益
出迎えは無用と言った筈だが』

関覇『いえ
劉越殿が危険な行いをしたと簡白殿が申し上げたので』

張益『んで
急いで救援に駆けつけたんだが、ソイツは?』

劉越『ああ
私達の新たな同士だ』

程鉄『程鉄と言います』

張益『んぇ?
おめぇがあのグランデス大陸の特使にして豪傑か?
マジかよ、そんな奴が親分に力を貸すって?』

関覇『なるほど、貴公がかの程鉄殿か
拙者は関覇と申す、そしてこの者は張益と言い、我ら義きょうだいの末弟だ』

劉越『さて、簡白の差し金と聞いたが
張益、お前また酒を飲んでたな?』

張益『い、いや、これには深い訳が』

程鉄『まぁまぁ
劉越殿、此処は穏便になされては?』

劉越『彼は酒に任せて暴走するのであまり良くないんだが』

関覇『申し訳ござらぬ
少し目を離した隙に酒屋で樽を買っていたので叱りはしましたが』

劉越『はぁ、ちゃんと代金は払ったか?
出世払いとか抜かしたら暫く逆さまにしてぶら下げるからな?』

張益『ち、ちゃんと料金は払ったぜ?』

程鉄『ふふっ』

程鉄はそのやりとりをみてクスリと笑っていた

劉越『程鉄殿
何か変なところがありましたか?』

程鉄『いえ、仲が良いのですね、貴殿方は
私は、貴方達の望む理想を描きたく思いました』

張益『だろー?
俺達は最強のきょうだいだぜってあいだぁ!?』

関覇『張益は少しは自重せい』

程鉄『本当に仲が良いのですね』

関覇『程鉄殿は武人としても凄腕と聞き申す
可能であればグランデス大陸の武芸について学びたく思う所存だ』

程鉄『持ち上げないで頂きたい
私はまだまだ未熟者、至高の武にはほど遠い身です
その身は弁えねばなりませんから』

程鉄は軽く咳払いをし、少し回りを見渡した
ラクヨウ大陸の自然は豊かで美しい
ギアルダは農作が主流だが、機械工学も進んでいる為に都は騒がしさも感じる
ミアズマと似てはいるが此処は人族が軸、他の種族は淘汰されている
こんな状況を見過ごせる筈がない

程鉄『私が、この大陸を救わねば』

劉越『程鉄殿』

程鉄『なんでしょうか?』

劉越『貴方は他所の大陸より無関係な私達を助けると言いました
貴方の事は遠い大陸の冒険者とは存じ上げますが、それでも』

程鉄『今更言い合うのはナシですよ
私は自分の信念に嘘はつきたくないのです
一度頼まれた以上、最後まで付き合いますよ』

劉越『ありがとう、程鉄殿』

程鉄は改めて劉越に拝礼すると、三人に同行した
険しい桟道を進み、未開拓の竹林を抜けながら、程鉄は新たな冒険に心を馳せていた
前述したが、程鉄にとって、ラクヨウ大陸は未知の世界である
それゆえに、思いを馳せていたのはある
劉越の描く天下や未来もまた、程鉄には興味があった
グランデス大陸がそれらの種族が並び立つようになったのは記憶に新しい
程鉄がそれ故に、ラクヨウ大陸のあり方を変えたい、そう心の中で思うようになっていた
それが野心か、或いは本心かは今の当人にも解らない
ただし、ラクヨウ大陸の変革を望む事は違いはなく、劉越らと意気投合したのは本心だ
竹林を歩みながら、彼は静かにそう思った
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