グランデス冒険録

四章・未知の知識、新たな仲間達(後編)
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金牛の月二十日

武都闘技場

控え室

ビギナー杯に出場すべく武都の闘技場を訪れたリンクスワーカー
控え室には様々な冒険者が控えていたが、特に異色なのは三人の亜人だけで構築されたギルドであった
ゴブリンとオーガ、そしてシャドウという編成で構成が異質だったのだ
ゴブリンの方に程鉄は見覚えがあった、始まりの遺跡で戦ったあのゴブリンだったからだ

ゴブリン『お前か、久しいな』

程鉄『おや
貴方はいつぞやの
冒険者になったのですね』

シャドウ『知り合いか、グレンデル』

グレンデルと呼ばれたゴブリンは頷いた

グレンデル『ああ
ダークス、奴等は手強いぞ』

ダークス『ふむ
グレンデルが言うほどか
気を抜かずに挑むか』

程鉄『あの時より強くなってるようだね
私も気を抜かずに挑むとしよう』

グレンデルは一瞥し、去っていく中、一部の参加者は嘲笑うような事を口走った
ゴブリンだからと侮る者、弱小蛮族と侮る者と様々だった
しかし、グレンデル達はそれには気にも止めなかった
程鉄は確かに感じ取っていた、彼は強くなったのだと、仲間も只の弱小亜人ではないと

程鉄『これは
油断してたら足元を掬われますね』

沙霧『彼らの闘争心はかなりのものです
油断すれば直ぐにやられるでしょう』

ともあれ準備をすべく装備を整えて最初の試合に望むことにした

コロシアム

武都は戦いで物事を決めるという決まりがある
それは武都の司法で定められた事であるが、それは強者が全てを定め、支配するという意味ではない
力があっても、大事を忘れた者はいつしか革命により潰えるのだ
リンクスワーカーは東側の入り口にあり、対戦相手は『ソウルブレイカーズ』と呼ばれる、若手のギルドを苛めたり、狩ってカツアゲをする等という、ろくでもない評判のあるギルドだった
それ故に幾度かジャッジに捕らえられる等を繰り返した典型的な悪党ギルドであり、本来の実力はブロンズ相当と言われていた

悪居『はん、縁様のお気に入りだぁ?
こんな雑魚、直ぐに叩き潰してやんよぉ!』

程鉄『哀れだ、実に哀れだ
貴方達の毒牙にかかったギルドが実に哀れだ
それ以上に、貴方達が哀れだ』

程鉄が抜刀し、身構えると、蘭華達も戦闘体制をとった
悪居は不意討ちを狙って合図をしたが、後ろに居たメンバーの反応がない
悪居が後ろを振り向くと、既に一人が戦闘不能になった

悪居『な、なんだと!?』

沙霧『貴方達に、行動は渡しません』

沙霧がもう一人を叩き斬り、残すは悪居のみとなった
しかし、悪居はほくそ笑み、黒く染まったカードを取り出した

悪居『ひ、ひひ、おい、何勝利宣言してんだ?
俺様にはなぁ、まだ切り札かあんだよ
簡単に終わらねぇんだよ
どいつもこいつも馬鹿にしやがって、俺様の努力を知らねぇでよ!』

程鉄『あれは?』

悪居がカードを放り投げた瞬間、その禍々しい光に包まれた悪居の体が変容した
それが人間のものじゃないのは、程鉄のみならず、観客にも解った

沙霧『アンデット!?』

悪居『キヒヒ
嗚呼、怯えてやがる
この力で俺を馬鹿にした奴に復讐して、ヒャハハハハ!』

悪居は戦闘不能になった自分の仲間をアンデットに変容させ、戦いを続行した
程鉄はあの一件のトラウマが、自分の体を縛り付けているのが解った

程鉄『だ、駄目だ、私は』

沙霧『程鉄さんっ!』

沙霧が駆け寄ろうとしたが、それよりも早く、悪居の一撃で彼女が壁に叩きつけられ、意識を失った

悪居『まずは一人ィ
安心しろよぉ、直ぐに全員あの世に送ってやるからよぉ!』

メイ『っ
これが、アンデットなのですね
程鉄様!』

程鉄『あ、ああ
こんなの私はまだ』

程鉄は動けなかった、力量の差は明確であるが、それ以上に、恐怖があった
自分は死ぬのか、また何もなせないまま、果てるのか
しかし、そんな程鉄に確かにメイの声が聞こえた

メイ『まだ諦めてはいけません!
沙霧様が倒れてもまだ、私が居ます!』

程鉄『メイ?
そうだ、私は、まだ諦めたくない!』

程鉄は恐怖を振り払った、その時である
程鉄の手の甲にある印が、光を発したのだ
それは、沙霧とメイの心に共鳴し、程鉄の持つ小刀を変容させた

程鉄『銀の剣か、これなら!』

メイ『貴方の心を感じます
私も最後まで貴方を支えましょう』

程鉄は悪居に突っ込み、沙霧への注意を反らした
程鉄がそうした理由は、もう一つあった
それは、メイの行動を阻害させない為だった
メイは取り巻きのアンデット二体を迎撃し、その撃破を狙っていた
程鉄はアンデットになる前の行動から悪居が最大火力と断定したのである

程鉄『メイにも負担をかけた以上
失敗は許されないか
沙霧さん、もう少しだけ!』

悪居『なんだぁ?
俺様への威勢は口だけかァ?』

程鉄『貴方はわからないでしょうね
私が格上相手に取る戦術なぞ
初心者をいたぶり続けて甘い蜜にすがりすぎて、努力を捨てた貴方には』

程鉄は鞄からフェニックスの尾を取り出し、沙霧に投げた
死者を蘇らせる力を秘めるが為に高価であるが万一の為に準備した代物だった

沙霧『程鉄さん?』

程鉄『私の事はいいです
メイを支援してください!』

沙霧『は、はい!』

沙霧は復帰すると程鉄の言葉に呼応してメイの方に駆け寄った
残ったのは悪居と程鉄のみである

悪居『テメェ!』

程鉄『私の道は貴方にとっては相容れないでしょう
私欲のためにアンデットに堕ちた貴方とは解りあえない』

程鉄の一撃が悪居の体を確かに傷付けた
銀によってか、アンデットの体が焼けるようになった
これに悪居は動揺していた、無敵だと思っていた肉体に傷がつき、削られたのだ

悪居『イギッ
ば、馬鹿な、この体は無敵の筈だ
何故だ、何故!?』

程鉄『アンデットと戦わず
低ランクに引きこもり、逃げた貴方は知らないだろうね
貴方がアンデットになった事で、貴方は最早グランデスに安息の地は無い!』

悪居は程鉄の発言に更に動揺した
自分がよもやアンデットに変化したという事を知らなかったのだ
体の違和感はそれなのだと、漸く気付いたのだ

悪居『そ、そんな
俺様は、俺様は!』

程鉄『まして仲間もアンデットにした以上
貴方は最早名誉人族の証すら得られない
私は、貴方を断罪する!』

悪居『た、助け』

悪居の言葉は誰にも届かなかった
仲間も討たれ、残るは自分だけ、その首を切り落とされ、悪居も絶命した
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