4位 山崎烝:アンケート結果 8P獲得

此処ではない何処かで〜橙花様リクエスト〜
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煌びやかな衣装。
うなじに塗られた白粉。
真っ赤な紅に、香油のきつい香り。
それに混じって酒の匂いが漂いそこかしこで睦言が洩れ聞こえ、喧騒が止まない夜。
京、花街島原にある揚屋。
その一室で千鶴は客である男に酌をしていた。
その姿はいつもの袴姿ではなく、派手な柄の天神特有の衣装だった。
「君は、お千と言ったか?まだここに来て間もないのに天神とは、なかなか先が楽しみだな。」
「ありがとうはんどす。お客はんも、ご立派なお侍はんみたいどすな。」
「ははは、そう言ってもらえると嬉しいモノだ。さぁ、もっと酒を持って来させなさい。今夜はとことん呑もうじゃないか。」
「へぇ、わかりもうした。」
静々と裾を翻し酒の追加を頼みに廊下へ出ると、千鶴は大きく肩で息を吐いた。
その背中に向って小さく声が掛けられる。
「・・・大丈夫か。」
「大丈夫です・・・ありがとうございます。」
「俺は隣の部屋にいる。もし・・・どうしても無理ならこちらの部屋へ来い。」
「いいえ、そんな事をすれば山崎さんのお仕事の邪魔になってしまいます。私は平気です。」
気丈に言い切る千鶴に目を向け、山崎はきつく目を閉じ口を噛み締めた。
「・・・健闘を祈る。」
「山崎さんも・・・。」
二人は決して顔を見合すでなく、背を向けたままそこで別れた。
山崎は右の部屋へ、千鶴は左の部屋へ。


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